コミュニティのイベント企画における4つの型

あなたのコミュニティに効くイベントの型は?

コミュニティ運営とイベント企画は切っても切れない関係にありますよね。多くのコミュニティで定期的なイベント開催を軸として運営されているかと思います。

それゆえに、「イベントがなかなか盛り上がらない」、「どのようなイベントが良いだろうか?」、「毎月の企画が大変」など、悩みも尽きないはずです。どのようなイベント開催が効果的かは、コミュニティの目的や状況によって異なりなりますので、それを踏まえてイベント企画していくことになります。

今回の記事では、イベント企画におけるコンテンツの4つの型をご紹介します。ぜひフレームワークとして参考にしていただき、型を応用してイベント企画に取り組んでみてください。

講演会型

講演会型は、講師の話を参加者が聴くという、1:Nの片方向コンテンツです。講演や対談、パネルディスカッションなど、バリエーションはいくつかあります。

企画がシンプルで運営も簡単ですが、良くも悪くも出演者の質に左右されることとなります。参加者は聴くだけなので参加の敷居が低いという良さがありますが、それゆえ受身になりやすく、参加者の行動やコミュニティの活性化には繋げづらいです。つまり、多くの参加者は「聞いて勉強になった。楽しかった。」で終わってしまうので、共創コミュニティなどのように参加者の行動を促す必要があるコミュニティにとっては、物足りないものとなります。また、レベルの高い人に満足してもらうためには、それだけ質の高いコンテンツを提供し続ける必要があるという大変さもあります。

発表会型

発表会型は、コミュニティの参加者が活動報告やプレゼンテーションを行うような形です。活動報告、ピッチ、事例共有、ノウハウ共有などバリエーションは複数考えられます。

ポイントとしては、コミュニティの参加者自身がプレゼンターとなり仲間に貢献すること、そして彼らによってコミュニティのコンテンツが作られていく自給自足型であるということです。このようなアウトプットの場があることで、コミュニティメンバーの活動を促す効果があり、コミュニティの活性化に直結しやすい形式です。また、参加者同士の横のつながりを生む効果も期待できます。経験豊富な方にも「プレゼンター」という魅力的な役割ができるので、入門者から上級者まで幅広い層の参加者ニーズを満たすことができます。ただし、良くも悪くもイベントのクオリティは参加者への依存度を増します。テーマ設定やプレゼンター選出、コミュニティ活動とのリンクなど、企画力がより重要になりますし、ある程度のクオリティのブレは許容できる必要があります。

ディスカッション型

特定のテーマや問いを設定し、参加者がグループディスカッションなどで議論を行う、完全にN:N型のコンテンツです。答えを出すことが重要なのではなく、相互理解や、問題意識の共有、協力のきっかけ作りとしての意義が大きい形式です。また、これを発展させたのがワークショップ形式です。

参加者に発言を求めるぶん、参加の敷居や負荷は高くなりますが、多くの人にとって自ら発言することは満足度を高め、コミュニティの活性化にもつながりやすいです。主催者側に企画力やファシリテーションスキルが必要なのは言うまでもありませんが、最も重要なのは、予定不調和を受け入れる器量です。各グループのディスカッションの質が参加者の質に大きく依存してしまうため、人によって満足不満足の差が生じやすいです。また、どのような意見が出るか、どのような結論へと導かれるか、必ずしもシナリオ通りにはいかないものです。むしろ、意外な展開が起きてこそイベントが盛り上がったりもします。参加者を意図する方向に導く手腕と同時に、予定不調和な展開を面白さとして受け入れていく器量があれば、非常に魅力的なイベントを実現できるでしょう。

交流会型

参加者同士のコミュニケーション創出を主目的とする形式です。場に人を集めるだけで完全な自由交流にする形式から、プログラムを用意して強制的にマッチングさせていく形式まで、実はバリエーションが豊富です。

運営としては自由交流が手間がかからず楽ですが、自由度が高いと良くも悪くも各自のコミュニケーション力に依存することとなります。つまり、ほとんど交流できず居場所がないように感じてしまう人も少なからず生まれてしまうリスクがあるということです。ある程度の指示や枠組みがあったほうがコミュニケーションは生まれやすくなります。強制的にグループを作り、自己紹介のテンプレートを用意し、30分で席替えするなど、マッチングを促すコンテンツを提供することで、個々の発言量もバランスをコントロールできますし、コミュ力に自信がない方も安心して参加できます。コミュニティの状況に合わせて自由度のバランスを調整しつつ、イベント設計するのが良いでしょう。交流会といえど、意図する方向にコミュニケーションが発生するように仕掛けが重要だということです。また、交流会型の場合は、毎回の参加者が固定化しないことが重要です。常に新しい参加者がいる状態を目指して、参加者や頻度を調整しましょう。

型を応用してイベント設計すべし

以上のようにイベントコンテンツの4つの型を紹介してきましたが、この4つのうちのどれかを実施するというのではなく、必要な要素を組み合わせながらイベント企画を設計することをおすすめします。

例えば、こんな具合いでいかがでしょうか?

成功事例をお持ちの方をゲストに招き、具体的な取り組みやノウハウを紹介してもらう(講演会型)と同時に、講演の感想や気づきを参加者同士で共有する場(ディスカッション型)を設ける。終了後、30分程度の短い懇親会を行い、自由な雑談も楽しんでもらう(交流会型)。

4つの型それぞれで、コミュニティへの効果が異なります。単純にイベントネタとして考えるのではなく、コミュニティの状況を改善していくための施策として、この型を応用してイベント設計していくと良いでしょう。

コミュニティで参加者のつながりを維持・強化し、活動を活性化していくためには、定期的なイベント開催が効果的です。「イベントを制するものはコミュニティを制す」って感じで、頑張っていきましょう。

投稿者プロフィール

伊藤真之
伊藤真之代表取締役
1983年生まれのパラレルマーケター、そしてコミュニティデザイナー。
マーケティングやコミュニティデザインの方法論を研究開発する傍ら、自身では宇宙ビジネスの実践コミュニティ「ABLab」を主宰。人が動き出すコミュニティ創りを実践する。複数の企業をコミュニティとマーケティングで支援し、仕事の後はクラフトビールで乾杯したい。
社長コラム

前の記事

38歳を迎えました