「コミュニティ」を学ぶおすすめ本 − コミュニティ研究家が選ぶ12冊
コミュニティ研究家 伊藤真之が選ぶ、コミュニティに関するおすすめの書籍を紹介します。興味惹かれるものがありましたらぜひ読んでみてください。
とはいえ、コミュニティを学びたいと思った時に、一番大切なことは「経験」です。もしあなたが、「これからコミュニティ運営に携わることになったけど、コミュニティに参加したことがない」という場合には、本を読むより先にやるべきことがあります。
まずは自らいくつかのコミュニティに参加し、能動的に活動してみること。そこから学ぶことの方が多いはずです。コミュニティのリアルを知らずして、机上だけでコミュニティを理解することはできません。実際にコミュニティを肌で感じ、難しさがわかってきたところで、これらの本を手に取ってみると良いでしょう。
必読のコミュニティ本
コミュニティマーケティング 小島 英揮
企業のマーケティング施策としてコミュニティ運営に携わる方におすすめです。
コミュニティの価値や、成功させるための考え方などがまとめられています。また、コミュニティマーケティングが有効な商材はどんなものかにも言及されており、自社でコミュニティを検討する際に役立つでしょう。コミュニティを通して自身のキャリアアップへと繋げていく方法にも触れられており、コミュニティ運営者だけでなく、コミュニティに関わる全ての人に有用な本です。
ファンベース 佐藤 尚之
こちらも、企業のマーケティング施策としてコミュニティ運営に携わる方におすすめの一冊です。
ファンを起点としたマーケティングがいかに有用か、そしてどのようにアプローチすることが重要なのか、その考え方がまとめられています。コミュニティマーケティングやファンマーケティングを学ぶ上で、必読の書籍です。基本的な考え方について説かれていますので、実務担当だけでなく、経営者や役職者にこそ読んでいただきたい一冊です。
「コミュニティ」づくりの教科書 河原 あず/藤田 祐司
コミュニティと一口に言っても様々な種類があるのですが、本書はそのほとんどのコミュニティをカバーした実践的な教科書と言えます。
ユーザーコミュニティ、ファンコミュニティ、共創コミュニティ、地域コミュニティ、オンラインサロンなど、どのタイプのコミュニティにも役立つ形で情報がまとまっていますし、オンラインのノウハウも充実しています。コミュニティの立ち上げから、イベント企画、そして運営まで網羅的な入門書です。これからコミュニティに携わるという方は必読ですね。
最高の集い方 プリヤ・パーカー
コミュニティにおけるイベントのノウハウを学びたい方向けの一冊。
コミュニティとイベントは切っても切れない関係にあります。コミュニティを成功に導くために、適切なイベント企画とその成功が必要不可欠です。
イベントとは、誰でも開くことができますが、とても奥が深いものです。うまくいけば驚くようにコミュニティを活性化させることができる一方で、下手をすればマイナスにも働きます。「ミートアップや勉強会を開いても、思うようにコミュニティの活性化に繋がらない」というお悩みもよく聞きます。
本書を読めば、イベントにおけるホスト(主催者)の役割の大きさに驚くことでしょう。ホストはどのように考え、どのように準備し、どのように振る舞うべきか、その答えがこの一冊に詰め込まれています。
問いのデザイン 安斎 勇樹/塩瀬 隆之
ディスカッションやワークショップの成果を高めたいと感じている方に必読の一冊です。
共創コミュニティや地域コミュニティなどは特にそうですが、課題解決やアイデア創出を目的としたディスカッションやワークショップを行うコミュニティは多いはずです。そのような場で、より効果的なアプローチができれば、参加者同士の共感や共創を促し、興奮と共にコミュニティの温度感をますます高めることができます。
良いソリューションは、良い「問い」から生まれます。「問い」が変われば「答え」も変わるのです。多くの場合、「問い」の作り方が間違っています。本書では、どのように問いをデザインし、どのように対話を促していけば良いのか、ワークショップのデザイン方法やファシリテーション技法も含めて学ぶことができます。
ぜひ、あなたのコミュニティでも、メンバーの力を引き出し、新しい価値を創出してください。
ファンコミュニティにおすすめ!
完全教祖マニュアル 架神 恭介/辰巳 一世
ご自身がオーナーとして、オンラインサロンやファンコミュニティを運営する方にぜひ読んでいただきたい一冊です。
宗教には、その長い歴史によって蓄積された強力なノウハウがあるのですが、実はその多くがコミュニティ運営に応用できるものなのです。
「教祖のノウハウ」というと悪い印象を感じるかもしれませんが、要は使い方次第です。この本に書かれたノウハウは非常にパワフルです。その力を世の中の役に立つ形で使えば良いのです。良き人が強い力を持てば、世界は良くなるでしょう。ぜひあなたも、社会に貢献するために、素晴らしい教祖になって皆を導いてください。
WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE. 佐渡島 庸平
趣味を軸としたコミュニティや、プロダクトのファンコミュニティに携わる方におすすめ。つまり、「好き」でつながるコミュニティについて書かれています。
コミュニティのニーズが高まっている時代背景の理解や、コミュニティ運営に役立つ考え方のヒントなどが盛りだくさん。これを読むことで、コミュニティ脳が育まれると思います。
共創型のコミュニティにおすすめ!
「完璧なリーダー」は、もういらない。 長尾 彰
共創型のコミュニティを運営する方には特に読んでいただきたい本です。
リーダーシップの本ですが、「コミュニティにおけるリーダシップって、こういうものだよね」と私は思うのです。
コミュニティの場合、必ずしも皆を引っ張る優秀なリーダーを必要としません。むしろ、思わず手を貸したくなってしまうような不完全なリーダーの方が、結果的に大きな成果へと推進していくことが多いです。要は、自分よりも優秀な人も含めて、各々が自ら力を発揮したくなるような場を作ることが大切なのです。
京大的アホがなぜ必要か 酒井 敏
コミュニティをテーマにした本ではありませんが、共創型コミュニティで大切にすべきことを学ぶのに最適な一冊です。
共創、つまりイノベーティブな成果を生むために、その組織にどんな文化を形成すべきかがよくわかります。
例えば、こんなことが大事なのです。
- アホが賞賛される場
- 変な人が変なままで認められる場
- 明らかにムダに思えても、面白いからやってみようと試せる場
- 「選択と集中」や「効率」を求めない場
- 失敗も楽しめる場
企業でこのような場を作るのは難しいものですが、コミュニティならできますよね。コミュニティのポテンシャルを大いに感じることができます。詳しくは、本書を読んでみてください。
妄想する頭 思考する手 暦本 純一
こちらもコミュニティをテーマにした本ではありません。しかし、共創コミュニティで、イノベーティブな成果を生み出すために、コミュニティが担うべき役割を考えるのに役立ちます。
コミュニティやイベントをどのように設計していけば、面白いものが生まれるのかがわかるのと同時に、イノベーションのためにはやはりコミュニティが重要だと再認識できることでしょう。
地域コミュニティなど、場所に紐づくコミュニティに携わる方へ
コミュニティデザイン 山崎 亮
地域活性化におけるコミュニティデザインについて、著者が実際に携わってきた様々な事例を通して学ぶことができる一冊。コミュニティのポテンシャル、そしてそれを引き出す難しさを、生々しく感じることができます。
本書の中で著者も言っていることですが、社会課題を解決するためには2つのアプローチがあり、一つは課題に直接アプローチする方法。そしてもう一つが、課題を解決するためのコミュニティの力を高めるデザインをすること。
私もコミュニティの力は世界を変えると信じている一人です。
プレイス・ブランディング 若林 宏保/徳山 美津恵/長尾 雅信/電通abic project
直接的にコミュニティについて書かれた本ではありませんが、コミュニティの力を活かした地域活性化のヒントを得ることができます。
本書によって、まず「地域ブランディング」を「プレイスブランディング」へとアップデートし、コミュニティという現地リソースをいかにプロジェクトの推進力に変えていくかが学べます。
人を魅了するプレイスというのは、想いを共有し主体的な活動が自然発生するような魅力的なコミュニティがあってこそ、持続的に発展していくものだと、本書を読んで思うのです。
まとめ
読んで、考え、実践し、議論しよう。
コミュニティ研究家として、日々たくさんの書籍に目を通していますので、その中から特におすすめの書籍を厳選して紹介させていただきました。皆さんが関わるコミュニティに合う本や、悩みに合いそうな本がありましたらぜひお手に取ってみてください。
本を読み、実際にコミュニティの現場で実践できたら、うまくいってもいかなくても、それは前進です。その際はぜひ私と一緒に議論しませんか?Twitterやお問い合わせフォームで、お気軽に声をかけていただければ嬉しいです。
コミュニティには人の人生を変える力があります。コミュニティが人を動かし、人が組織を動かし、組織が業界を動かし、そしてやがて世界を動かしていくと信じています。コミュニティから、世界は変わります。
投稿者プロフィール
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1983年生まれのパラレルマーケター、そしてコミュニティデザイナー。
マーケティングやコミュニティデザインの方法論を研究開発する傍ら、自身では宇宙ビジネスの実践コミュニティ「ABLab」を主宰。人が動き出すコミュニティ創りを実践する。複数の企業をコミュニティとマーケティングで支援し、仕事の後はクラフトビールで乾杯したい。
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