コミュニティコンテンツの4象限

コミュニティコンテンツの4象限

こんにちは、ファンブックの伊藤です。

コミュニティを運営する上で、どのようにすれば盛り上がるのか、コンテンツの企画に悩まれている方は少なくないと思います。

今回は、コミュニティの設計やイベント企画検討時に役立つであろう、「コミュニティコンテンツの4象限」という考え方についてご紹介します。

コミュニティコンテンツの4象限とは

人がコミュニティ活動に参加する際の期待(ニーズ)は、「受動的/能動的」という軸と、「片方向/双方向」という軸で整理できます。ですので、この軸でコンテンツを分類し考えることで、コミュニティメンバーのニーズを的確に満たすコンテンツを検討することができます。

コミュニティコンテンツの4象限

何らかのベネフィット(価値)を受け取れるだろうという「受動的」な期待と、逆に自分が何かを成したいという「能動的」な期待があります。コミュニティ参加者は誰しも、この両方の期待を抱いてコミュニティに参加するものですが、その割合は人によって異なります。受動的に偏る人もいれば、能動的に偏る人もいます。どんな人が多く集まるかは、コミュニティの設計に依存しますが、多くの場合は「受動的」の方に偏るものです。一般的には参加者の8割以上が受動的な期待を持って集まると考えておくと良いでしょう。

そして、ベネフィット(価値)の授受には「片方向」と「双方向」という向きがあります。「片方向」というのは、「授ける人」と「受け取る人」という構図です。「双方向」というのは、複数人で一緒に何かをすることで、お互いにベネフィットが得られる構図です。とりわけこの「双方向」のコンテンツがコミュニティにおいて非常に重要です。それがなければコミュニティとは言えないと言っても良いほどです。

コミュニティメンバーのニーズに応える「4つの場」

さて、この軸で分類すると、4つの場ができます。「情報の場」「繋がりの場」「貢献の場」「共創の場」です。

コミュニティコンテンツの4象限

この4象限は、コミュニティコンテンツの分類であると同時に、メンバーのニーズの分類でもあるのです。4つの場それぞれには、「知りたい、学びたい」「繋がりを増やしたい」「仲間の役に立ちたい」「新しい価値を創りたい」という人がコミュニティに求める本質的なニーズが対応しています。

ですから、この4象限でメンバーのニーズを整理し、適切なコンテンツを企画/実行していくことで、効率的にコミュニティを盛り上げて成果をあげていくことができるのです。皆さんのコミュニティでも、ぜひこの4象限で整理してみてください。きっと新たな気づきが得られるはずです。

それでは、これらの4つの場について、詳しく解説していきます。

(1)情報の場(受動的・片方向)

人がコミュニティに参加する時、有益な情報が得られるだろうという期待を持っています。それに応えるのが「情報の場」に類するコンテンツです。

例えば、メンバー限定の情報提供、メンバーだけが参加できる勉強会などがあると思います。情報の質と量を向上させることで満足度は上がりますし、逆も然りです。メンバーはどんな情報を得たいと思っているのか(ニーズ)、そしてコミュニティはどんな情報を提供できるのか(リソース)としっかり向き合うことによって、情報の場を改善することができます。

(2)繋がりの場(受動的・双方向)

人とのつながりはコミュニティの重要な価値の一つです。そこに集まっている人自体が、そのコミュニティの価値になるのです。多くの場合、それは情報以上の価値として捉えてもらえます。

例えば、懇親会やディスカッション会、ワークショップ系のイベントなど、メンバー同士のコミュニケーションを生む場がそれに当たります。また、イベントだけでなく、オンライン上で交流できる仕組みを整えることも重要です。

繋がりの場に対する満足度は、提供される場の運営クオリティと、そこに集う参加者のクオリティという2つの軸で評価されます。参加者同士の自然な交流を促す運営ができているでしょうか?そして、そこでの出会いに満足できているでしょうか?懇親会で参加者同士が意気投合できていないような場合、間違いなく改善の余地があります。

(3)貢献の場(能動的・片方向)

意識の高いメンバーは、コミュニティを通して価値を受け取るだけでは満足できません。仲間の役に立つことや認められることに大きな価値を見出しています。つまり、優秀な人ほど、自分の能力が発揮できる場を求めているのです。そして、言うまでもなく彼らはコミュニティにとって非常に大切な存在です。彼らの活躍があってこそ、コミュニティは大きく成長していけるのです。

具体的には、メンバーからのノウハウ提供や、メンバーによる勉強会主催、運営参画など、メンバーがコミュニティに貢献する機会を作ったり、そのような文化を推進していくことが挙げられます。

「貢献の場」がないコミュニティは、ハイレベルな人を引きつけ続けることが難しくなります。なぜなら、ハイレベルな人が満足できる価値を提供し続けるためには、運営側がそれ以上にハイレベルである必要があるからです。ハイレベルな人が満足できるか否かは、中長期的なコミュニティの成長に大きく影響していきます。貢献の場を機能させることがいかに重要か、感じていただけるでしょうか。

(4)共創の場(能動的・双方向)

意識の高いメンバーが最も喜ぶことは何でしょうか?それは同志とのコラボレーションです。多くの場合、彼らは希少で、出る杭のような人材ですから、普段所属している組織では浮いていたりするものです。認め合える仲間との共創の場は、コミュニティにおける最高峰のコンテンツと言えるでしょう。

具体的には、分科会活動、プロジェクト活動、研究・開発など、少数精鋭で新たな価値を生み出すような活動がそれに当たります。

運営側がすべきことは、彼らのバックサポートや、成果に対してスポットライトを当てることです。ここで生まれた成果は、彼らの成果であると同時に、コミュニティの成果でもあります。内外からの高い評価につながり、コミュニティをさらに大きな発展へと導くでしょう。

コミュニティをビジネスの推進力にするために

さて、既にお気づきかと思いますが、(1)から(4)に行くにしたがって、運営の難易度も、メンバーの難易度も高くなります。運営側はメンバーの行動を直接的にコントロールできませんので、行動を促す工夫やノウハウが重要になります。

「貢献の場」や「共創の場」の成功は、コミュニティの発展に不可欠です。コミュニティのエネルギーをビジネスの推進力にしたいと考えるのであれば、メンバーの能動的なパワーをいかに引き出せるかが鍵となるのです。

まとめ

コミュニティコンテンツの4象限

今回は、コミュニティの設計やイベント企画検討時に役立つであろう、「コミュニティコンテンツの4象限」という考え方についてご紹介しました。

コミュニティがうまくいっていないと感じる時、その原因はコミュニティコンテンツにある可能性があります。現状のコンテンツをこの4象限で整理することで、課題や解決策が見えてくると思いますので試してみてくださいね。

コミュニティでお悩みの際はご相談ください。

この4象限を使ったコミュニティ改善をお試し頂けた方はぜひ伊藤までフィードバックいただけたら嬉しいです。「こんな発見があった!」「改善がうまくいった!」「やっぱり難しい」など、リアルな声をお聞かせください。

コミュニティに関するご相談はzoomで無料でお受けしておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

投稿者プロフィール

伊藤真之
伊藤真之代表取締役
1983年生まれのパラレルマーケター、そしてコミュニティデザイナー。
マーケティングやコミュニティデザインの方法論を研究開発する傍ら、自身では宇宙ビジネスの実践コミュニティ「ABLab」を主宰。人が動き出すコミュニティ創りを実践する。複数の企業をコミュニティとマーケティングで支援し、仕事の後はクラフトビールで乾杯したい。