コミュニティのビジョン設定における5つの落とし穴

コミュニティのビジョン設定における5つの落とし穴

コミュニティを立ち上げる際、まず第一に必要なのがビジョン、あるいは目的の設定です。しかしながら、ビジョン設定で損してるコミュニティが多いようにも感じます。良いビジョンとは?ダメなビジョンとは何なのか?今回はビジョン設定時の落とし穴について考えてみましょう。

ビジョン設定は超重要

当たり前ですが、共創コミュニティやユーザーコミュニティ、オンラインサロンといった多くのコミュニティにおいて、ビジョン設定は超重要です。特に、共感で人が集まる類のコミュニティにおいては最も大切な要素と言えるでしょう。

ビジョンは、下記の要素を文脈として持っています。

  • なぜコミュニティを作るのか
  • 何をしたいのか
  • どんな背景や課題があるのか
  • 対象者は誰なのか

これらを明確に定義して、参加者が持ち寄るパワーのベクトルを示すのがコミュニティのビジョンです。

ビジョン設定で陥りやすい5つの落とし穴

ビジョンを言語化する際に、どんなことに気をつけなければならないのでしょうか。

その答えのヒントが、書籍「問いのデザイン」にありましたので、今回はそちらを引用して照らし合わせる形で、「5つの落とし穴」として紹介したいと思います。

本書の2章「問題を捉え直す考え方」にて、課題設定の罠として下記の5つが挙げられています。

課題設定の罠

  1. 自分本位
  2. 自己目的化
  3. ネガティブ・他責
  4. 優等生
  5. 壮大

詳しく知りたい方はぜひ書籍を読んでみてください。素晴らしい本です。

ここでは、この5つを「コミュニティのビジョン設定において注意すべきこと」として、当てはめる形で紹介していきます。

①自社本位になっていないか?

「売上を上げる」「顧客を増やす」「自社製品の〇〇を広める」など、自社の利益に正直すぎるビジョンはダメです。

当たり前ですよね。このようなビジョンはそもそも社員ですら共感が薄いはずです。ましてや顧客に響くわけがありません。ビジョンは、「自社にとっての価値」ではなく「社会における価値」にフォーカスして言語化すべきではないでしょうか。

②コミュニティ自体が目的化していないか?

「コミュニティを導入する」「コミュニティを拡大する」など、コミュニティ自体が目的化していないか注意が必要です。

笑い話のように感じるかもしれませんが、これはよくあるのです。例えば、「クラウド化しよう」「AIを活用しよう」などが同じ轍です。実際に多くの企業で手段が目的化してしまいがちではないでしょうか。「コミュニティ施策」も成功事例が目立ち始めていますので、「うちもコミュニティを検討しよう」と、手段から始まってしまうケースも多いと思います。きっかけはそれでも構わないんですけどね。

③他責になっていないか?

トップがコミュニティの目的を設定する際に、課題の原因を現場のせいにしていないか、今一度自問してみましょう。

例えば、「社員のモチベーションを高める」「イノベーティブな新規事業を生み出す」というビジョンを設定したとします。その背景に「社員のモチベーションが低い」「イノベーティブな事業アイデアが出てこない」という、責任転嫁が潜んでいるとしたら要注意です。もちろん、コミュニティを通してモチベーションを高めたり、新規事業を生み出したりすることは可能です。しかし、それ以前に他責でビジョンを語っても共感が得られないのです。

上記の例で言えば、「社員はモチベーションを発揮する場を求めている」「イノベーティブな才能が眠っている」というようにポジティブに考えてください。対象者をネガティブに捉えるのではなく、彼ら彼女らの力を信じるのです。そして、その素晴らしいポテンシャルを発揮する場としてコミュニティのビジョンを掲げるのです。

④優等生になっていないか?

ビジョンがあまりにもベタなド正論になっていると、強い共感は生まれづらいものです。

例えば、「持続可能な社会」「誰もが幸せな社会」「貧困を無くそう」というのはどれも素晴らしいことではあるのですが、実はそれだけだと本気度が伝わりづらいんですよね。そして参加者としても当事者意識が持ちづらいはずです。むしろ、敵を作ってしまうくらいの過激なビジョンの方が一部の層からは強い支持を得る。そう思いませんか?

⑤壮大すぎないか?

ビジョンのスケール感にも注意が必要です。ビジョンは大きすぎても小さすぎても良くない。バランス感が大切です。

身の丈と比べてあまりにも壮大すぎると、説得力がなくなってしまいます。「人類に貢献する」「世界から貧困をなくす」など、イーロンマスク氏が言うならわかりますが、私が言っても説得力がありません(笑)ビジョンと現在地をつなぎ、道が繋がっていることを誰もが理解できなければなりません。

まとめ

今回は、コミュニティのビジョンを考える時に気をつけるべきことを5つ紹介しました。

心に響くビジョンは、多くの人のパワーを引き出し、コミュニティの成果を引き上げてくれるでしょう。ぜひ、落とし穴を避けつつも、熱いビジョンを掲げてください。

もしあなたのコミュニティでビジョン設定に不安を感じているようでしたら、「うちのビジョンどうですか?」とお問い合わせフォーム私のTwitterで気軽に声をかけてくださいね。

投稿者プロフィール

伊藤真之
伊藤真之代表取締役
1983年生まれのパラレルマーケター、そしてコミュニティ研究家。
マーケティングや共創を目的としたコミュニティデザインの方法論を研究開発する傍ら、自身では宇宙ビジネスの実践コミュニティ「ABLab」を主宰。人が動き出す、コミュニティ創りを実践する。複数の企業をコミュニティとマーケティングで支援する雇われ侍。コミュニティは人の力をつなげ、世界を前進させる。クラフトビールならやっぱりIPA。