【キャンプファイヤー理論】コミュニティを成功させる7つのポイント

【キャンプファイヤー理論】コミュニティを成功させる7つのポイント

こんにちは、ファンブックの伊藤です。

今回は、コミュニティ立ち上げにおけるポイントをまとめた、「コミュニティのキャンプファイヤー理論」をご紹介します。これからコミュニティを立ち上げたい方、またはコミュニティ運営の初期段階でお悩みの方は参考にしてみてください。

キャンプファイヤー理論とは

コミュニティのキャンプファイヤー理論とは、コミュニティを立ち上げる際のコツを、キャンプファイヤーに例えて表現したものです。

具体的には、この7つを挙げています。

  1. 火種はあるか?
  2. 燃えやすいものと組み合わせる
  3. 最初は小さく
  4. 燃えにくいものを入れない
  5. 薪には組み方がある
  6. 燃え方をコントロールせよ
  7. 終わりの時を決める

若干こじ付けではありますが、「コミュニティ」と「火を起こすこと」は本質がよく似てるんですね。「キャンプファイヤー理論」で覚えていただくと、実践で思い出しやすいし、人にも教えやすいですよ。

それに、コミュニティを火起こしに例えるのは私だけではありません。パラレマーケター小島英揮さんの著書「コミュニティマーケティング」でも「焚き火理論」として紹介されています。本質は同じですが、私なりのエッセンスを加えた発展形となっていますので、ご参考にしていただければ幸いです。

「コミュニティは、キャンプファイヤーの如し」

小さな火を大炎に育てようではありませんか。それでは、一つ一つ解説していきましょう。

1. 火種はあるか?

コミュニティを立ち上げる時に必ず必要なのが「火種」です。「火種」とは何か? ユーザーコミュニティやファンコミュニティであれば、「熱狂的なファン」です。 業界コミュニティや社内コミュニティの場合なら、「惹きつけるビジョン」です。コミュニティの種類によって微妙に異なりますが、共通して言えるのは、「人の強い想い」ではないかと思います。

企業がユーザーコミュニティを作りたいという場合は、自社やプロダクトを愛して止まない熱狂的なファンが既に存在するかどうかを確認してみてください。もし、ファンがいないのであれば、まだコミュニティ施策に取り組む段階ではない可能性が高いです。まずはプロダクトマーケティングフィット(PMF)を追求し、事業の本質であるプロダクトによってお客様を幸せにすべきです。

一方、新事業創出を目的とした共創プロジェクトなどは、トップダウンで発足すると火種不足になりがちなので注意が必要です。「Why」を明確に言語化し、ビジョンに対する強い共感をまずは作らなければなりません。また、この場合、「火種」として適切な人材は、必ずしも優秀な人ではないのが面白いところです。火種を宿す人を見極めるのも必要ですね。

2. 燃えやすいものと組み合わせる

「火種」と「燃えやすいもの」はセットにして初めて意味を成します。「燃えやすいもの」とは、「火を受け取って一緒に燃えてくれる存在」、つまりはフォロワー的な存在です。例えば、「イベントやりたいね」と呟いた時に、「いいね!それやろうよ!手伝うことある?」と、一緒に行動してくれる人です。

意外とこれが盲点なのです。「火種」しか見ていない場合が多い。言い出しっぺが一人で空回りしている状態などはまさにそれです。一緒に燃えてくれる人をそこに呼べているかどうかが大事なのです。

ここで、フォロワーシップの大切さを説いたTEDの動画を一つ紹介しましょう。フォロワーシップが1人のバカをリーダーに変える瞬間が映っています。

ちゃんと燃え移るであろう人を揃えるのは、コミュニティプロデューサーの役割です。特に、事業創出系のコミュニティではフォロワーの存在有無が成果を大きく左右するでしょう。一見、起業家不足にも見えますが、実はそうではありません。周りにフォロワーがいないせいで本来の能力を活かせず埋もれてしまっている原石が実はたくさんいるのです。彼らは、自分の火を受け取ってくれる場所を渇望しているので、良いコミュニティほど素晴らしい原石が自然と集まってくるものです。

ということで、「燃えやすいもの」とは誰なのかを見極め、そういう人たちを揃えることが、火を起こすために大事なのです。

3. 最初は小さく

コミュニティはいきなり大きく始めると失敗するリスクが高くなります。小さな火種に対して大量の薪をかぶせたら燃え移る前に消えてしまう感じでしょうか。欲張らずに、まずは少人数で、一人ひとり手渡しするように、大切に火を育てていきましょう。その方が人から人へと火が燃え移り、長期的に成果をスケールアップしやすいです。

理想のコミュニティを作るためには、理想の文化を育むことが大切です。例えば、「お互いに助け合う」「相手を傷つける発言をしない」みたいなことですね。コミュニティ内の文化は、少人数であれば意図する方向に調整が効くのですが、いきなり大規模に集めてしまうともはや制御不能です。制御不能になると、マネジメント工数が膨大になり、コミュニティの本来の目的とは違う方向に行ってしまうなど、成果どころかマイナス効果を拡大してしまうリスクさえあります。

成果を焦らず、中長期施策として、戦略的に取り組むことが大切ですね。

4. 燃えにくいものを入れない

燃えにくいものというのは、例えばこういう人たちです。

  • 共感がない
  • 傍観者タイプ
  • ネガティブ発言が多い

コミュニティの初期段階は特にそうですが、こういう人たちが「いないこと」が大事です。踊るのを笑う人がいたら、踊りづらいですよね。いるだけでブレーキになってしまうのです。

このように火の燃え上がりを妨げるような人が入ってこないように、コミュニティの邪魔をされないように、戦略的にフィルターを設置するのが有効です。実は社会の様々なところでも、フィルターは有効に取り入れられています。例えば、大学の入学試験、会員制クラブの高額な年会費、企業の採用試験、一見さんお断りの料亭、これらはフィルターによってあえて敷居を高くしている。コミュニティにとってそれが重要だからです。

よくある失敗は、人をたくさん集めたいがゆえに、「誰でも参加可能です!」と敷居の低さを謳ってしまうことです。短絡的に最初から人数を追求してしまうと、燃えにくいものも大量に取り込んでしまいアクティブ率の非常に低いコミュニティになってしまいますので注意しましょう。

5. 薪には組み方がある

キャンプファイヤーにもノウハウがあって、薪にも組み方がありますよね。無知のままでは必要以上に苦労したり、失敗リスクも高まります。適切なコミュニティの設計を行うこと、そしてコミュニティ運営について学ぶことが大切です。

ビジネスにおけるコミュニティ活用が注目され始めたのはここ数年のことですから、社内にノウハウや経験を持つ人がいるケースは稀でしょう。コミュニティ担当者にアサインされたものの教えてくれる人もいなくて苦労されている方が多いのではないでしょうか。コミュニティマネジメントは非常に難易度の高い業務ですから、仮にうまく行っていなくてもそれはその人のせいではありません。本当に難しいのです。社内に指導者がいないのであれば、社外に求めましょう。

弊社にご相談いただけたらこの上なく嬉しいですが、世の中にはコミュニティ担当者が沢山います。コミュニティ担当者同士で相談し合えばお金はかかりませんし、良き友が見つかるのではないでしょうか。

6. 燃え方をコントロールせよ

コミュニティは立ち上げて終わりではなく、運営がずっとついて回ります。ビジネスであれば、PDCAを回してKPIを改善し、成果を追求していく必要があるでしょう。コミュニティの火が弱くなったり、逆に暴走して危険な状態になる場合もあるかもしれません。火を甘く見てはいけない。

大事なのは、燃え方はコントロールできるのだと知り、そのために会社として十分なリソースを割くことではないでしょうか。「コミュニティマネージャー」という担当者を置き、彼らを評価する仕組みも整えましょう。ロードマップを描き、予実を把握し、必要に応じて適切な処置を施していくこと。

コミュニティが企業の競争力を左右する時代が始まろうとしています。他社に先駆けて、コミュニティマネージャーを育成し、強力なコミュニティを育て、差別化を加速しましょう。

7. 終わりの時を決める

終わりの時、つまりゴールやロードマップを言語化し、共有することです。何のためにやるのか、どんな状態にたどり着けば成功と言えるのか、そこを決めずに何となくで始めてしまうのは避けたいところです。

「コミュニティで売上が伸びるらしいぞ」と漠然とした期待感で手を出し、ゴールもKPIもなくだらだらと取り組んでモヤモヤしてしまうと、いろいろな人が報われず不幸になってしまいます。

ビジネスとしてコミュニティに取り組むのであれば、他の事業計画やマーケティング施策等と同様に、できる限り解像度の高い計画を立てた上で戦略的に取り組むべきです。でなければ経営者はコミュニティの成果を評価できないし、どの程度のリソースを投下すべきかの判断もできません。それは、コミュニティ担当者を評価することもできないということに繋がります。

まとめ

以上、コミュニティのキャンプファイヤー理論でした。コミュニティを立ち上げる際のポイントを、キャンプファイヤーに例えて解説してみました。

コミュニティもキャンプファイヤーも、うまくいけばとても楽しいものです。コミュニティから笑顔やサクセスストーリーが生まれる度に、私自身も幸せを感じることが出来ています。コミュニティマネージャーは本当に楽しい仕事なのです。ただ、業務難易度は結構高い。

私も日々学び続けるコミュニティマネージャーの一人です。一緒に頑張りましょう。皆さんが8つ目のキャンプファイヤー理論を見つけた時にはぜひ教えてくださいね。

投稿者プロフィール

伊藤真之
伊藤真之代表取締役
1983年生まれのパラレルマーケター、そしてコミュニティデザイナー。
マーケティングやコミュニティデザインの方法論を研究開発する傍ら、自身では宇宙ビジネスの実践コミュニティ「ABLab」を主宰。人が動き出すコミュニティ創りを実践する。複数の企業をコミュニティとマーケティングで支援し、仕事の後はクラフトビールで乾杯したい。