コミュニティを活性化する「オンライン勉強会の基本スタイル」
こんにちは、ファンブックの伊藤です。
今回は、コミュニティを活性化するオンライン勉強会の基本スタイルについてご紹介します。
これまでは会場に集まって顔を合わせて開催していた勉強会も、今となってはオンラインにシフトせざるを得ない状況になってしまいましたね。オンライン化した時に、課題として浮かび上がるのが「参加者同士の交流」ではないでしょうか?
特にコミュニティにおいては「交流」こそが大きな価値ですから、オンラインでも「交流の場」を上手に提供できないと、コミュニティが盛り上がっていきません。
そこで今回は、これまで私が何十回と繰り返し試行錯誤してきた「オンライン勉強会の基本スタイル」をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
コミュニティの王道コンテンツ「勉強会」
コミュニティに人が集まる主な目的として、「学びの場」そして「交流の場」があります。経験上、多くのコミュニティで参加者ニーズの約8割程度はこの2つの場によって満たすことができます。ですので、コミュニティにおいて定期的に開催する「勉強会や交流会」は非常に重要なコンテンツです。
コミュニティに必要なコンテンツについては、下記の記事もご参考になさってください。
コミュニティコンテンツの4象限
しかしながら、今までオフラインを中心に活動してきたコミュニティでは、急なオンラインシフトにうまく対応できていないところも多いのではないでしょうか。
オンライン勉強会には「オンライン勉強会の型」があります。どのような形式で、どのような構成で行えば、オンライン勉強会をより効果的な場にできるのか、コミュニティにとって最適な「オンライン勉強会の型」を覚えましょう。
「勉強会」の目的は勉強ではない
ところで、ちょっと立ち止まって、「勉強会の目的は何だろうか?」と考えてみましょう。
勉強会の目的は、、、「勉強」ですよね(笑)
いやいやもうちょっと深く、本質を考えてみます。そうすると、コミュニティにおける勉強会の目的は、勉強だけではないのです。
そのテーマに関心の高い人たちが集まり、お互いに協力関係を築きやすい「状態を作ること」なのです。
ですから、著名人を呼んで教えを乞うことが必ずしも良い勉強会ではないのです。質の高いインプットを提供すれば良いというわけではない。もっと大事なことがあるのです。
それは、勉強会を通して、
- 「同じインプットをした仲間ができる」ということ
- それをきっかけに「仲間と意見交換をする」ということ
- 会話を通して「信頼関係を築いていく」ということ
コミュニティの勉強会で達成すべきことは、そういうことなのです。
ティーチャー型とコミュニティ型
実は勉強会には、ティーチャー型とコミュニティ型があります。コミュニティ形成において必ず取り入れるべきなのが、コミュニティ型の勉強会です。
ティーチャー型とは、著名人や専門家を講師として招き、話を聴くという形式です。その場合、「勉強会の品質」=「講師の話」です。つまり、誰に、どんな話をしてもらうかという企画が重要であり、それが勉強会の価値です。参加者も当然、その話を聞くために集まります。ティーチャー型の欠点としては、片方向の情報提供になりやすく、参加者は受け身になりやすく、その後のアクションを促しづらいということです。
一方、コミュニティ型は、「誰と一緒に学ぶか」に重きを置いたスタイルです。同じ話を一緒に聴き、それについて共に議論することで学びを深めていきます。この場合、講師は必ずしも著名人である必要はありません。仲間同士で講師を持ち回りで担当しても良いのです。コミュニティ型の良さは、回数を重ねる度に、仲間との関係性が強化されていくこと、そして結果的に何らかのアクションへと発展しやすいことです。
ティーチャー型は基本的に片方向の情報提供ですから、オンライン化が容易です。「ウェビナー」「オンラインセミナー」としてたくさん開催されていますよね。ところが、問題はコミュニティ型勉強会のオンライン化です。元々、コミュニティ型だったはずなのに、オンライン化したことでティーチャー型になっていませんか?その結果、勉強会の品質が下がっていませんか?
コミュニティ型の勉強会では、オンライン化しても「一緒に学ぶこと」に軸を置かなければなりません。参加者同士の会話が重要なのです。
オンラインでも交流はできる
さて、コミュニティ型の勉強会をオンラインにシフトした時に問題となるのが、「交流の欠如」です。
一つの会場に集まって顔を合わせての勉強会であれば、終了後に交流会を開いたり、お互いに誘い合って飲みに行ったりと、比較的容易に交流が行われていましたよね。それが本当は重要なことだったわけです。
しかしながら、安易に勉強会をオンライン化すると、その「交流」が抜け落ちてしまいます。ですから、主催者側が意図的に「交流の場」を作り出す工夫をしなければならないのです。オンライン勉強会でも「交流の場」は作れます。ただ、やり方は工夫しなければなりません。
例えば、zoomでの勉強会後にそのまま交流しようとすると、下記のような問題によくぶつかります。
- 発言しづらい
- ぶっちゃけトークができない
- 自分が話す出番がなかなか回ってこない
- 興味のない話も長々と聞くハメになる
- 結局、一部の人しか交流できてない
「remo」などのように交流会の再現を目指したオンラインツールも出てきていますが、まだまだ普及率が低いため、リテラシーの課題がつきまといます。そこで、まずは一般的に普及して多くの人が使い慣れている「zoom」でそのまま交流までできるほうが、今のところは便利なわけです。
コミュニティを活性化する「オンライン勉強会の基本スタイル」
私が様々なコミュニティに提案している「オンライン勉強会の基本スタイル」をご紹介します。
前提として、zoom開催で90分のオンライン勉強会。参加者20〜40名の規模を想定していますが、少し工夫すれば100名を超える規模でも応用できます。
構成 | 所要時間 | 内容 |
---|---|---|
オープニング | 5分 | 主催者からの挨拶や趣旨の説明など。 |
15秒自己紹介 | 10分 | 参加者に1人15秒ずつ自己紹介をしてもらう。 |
講話(Q&A含む) | 30分 | 講師、ゲストによる講話。 |
グループディスカッション | 20分 | zoomのブレイクアウトルーム機能を利用した、少人数グループでのフリーディスカッション。 |
全体共有 | 20分 | 各グループでどんな話が出たかを代表者に発表してもらう。 |
クロージング | 5分 | 主催者からの挨拶や、関係者からの告知など。 |
構成について、解説していきますね。
15秒自己紹介
ファシリテーターが参加者を指名していき、1人15秒ずつ自己紹介をしてもらいます。
15秒、短すぎ? いやいやCMだって15秒です。
お名前、所属、仕事内容を共有するだけでも、お互いを認識することができ、個人的に気になる人も見つかったりします。また、最初に全員が発言することで、参加意識が高まります。そして、講師も聞き手がどんな人たちかを把握できるので話しやすくなります。15秒自己紹介はいいことづくめなのです。
参加者が少なければ30秒自己紹介にしても良いし、100人規模ならブレイクアウトルームで4グループに分割すればOKです。
講話は短めに
勉強会というと、60分ずっと静かに講演者の話を聴くというのもザラですが、オンラインの場合は離脱や内職が簡単なんですよね。なので、よほど面白い内容でないと集中力が続かない。ディスカッションの時間を取るためにも、あえて短くしてしまいましょう。Q&Aを除けば、講師の話は20分です。
20分であれば講師側の準備負担も軽いので、忙しい方でも比較的お願いがしやすいです。また、コミュニティの勉強会では、メンバーが持ち回りで講師を担当するというのがコミュニティ活性化に非常に効果的なのです。
有益な情報を60分間話せる人は限られますが、20分ならできる人は多いはずです。また、万が一内容がイマイチでも、20分なら我慢して聞いてられます(笑)
講話の内容がイマイチでも、その後のディスカッションが充実すれば良いので、勉強会の満足度も上がりやすいです。
グループディスカッション、全体共有
zoomのブレイクアウトルーム機能で、3〜4名のグループに分割してディスカッションしてもらいます。その際のテーマはあまり縛りすぎないほうが良いでしょう。「感想や意見を共有しましょう」くらいの自由度があったほうが、いろいろな話が出てきて面白くなります。
ブレイクアウトルーム終了後は、各グループでどのような話が出たかを共有してもらいます。ここで大事なのは、無理に結論をきれいにまとめさせないことです。意見を集約する必要はなく、ただ印象的だった意見を紹介するだけで良いのです。
全体を通して、ポイントを挙げるとすればこの3つです。
- シンプルなインプット
- 全員に発言させること
- 参加者同士の横のつながりを作ること
予定不調和を怖がってはいけない
グループディスカッションを取り入れると、運営の難易度は多少高くなります。予想外の意見が出てきたりなど、その場での柔軟な対応力が必要になるためです。
主催者側としては予定調和でキチッと運ぶほうが安心感があります。でも、思わぬ展開ほど、参加者側としては面白いものです。勉強会なんて、きれいに納めなくて良いのです。その場で何が生まれるかわからない、予定不調和を皆で楽しめるほうが魅力的な勉強会だと思います。
すぐに閉じたらもったいない!放課後を作ろう
最後にもう一つ余計なアドバイスをさせてください。
勉強会のクロージングの後、すぐにzoomを閉じてはいけません。15分くらいの「放課後」を作ることをお勧めしています。
「この後、zoomはしばらく開けておきますので、追加の質問や、意見交換の続きなど、残りたい方は残って自由にお過ごしください。」
といった感じでアナウンスして、ゆるい時間を意図的に設けるのです。
リアルのセミナーでもよくありますよね?「この後、講師はしばらくおりますので、名刺交換や質問などされたい方はご自由に声をかけてください。」ってやつです。
こういう終了後のゆるい時間が意外と大事だったりするんですよね。
まずはやってみよう
何はともあれ、まずはやってみなければ始まりませんね。ぜひ試してみてください。
話を聴くだけのオンライン勉強会では、参加者の反応がわかりづらく、主催者側も講師も不完全燃焼の気持ち悪さが残ったりしますよね。
ところが、グループディスカッションになった途端、15分では足りないほどに参加者たちのトークが止まらなくなります。全体共有では、各グループの代表者が興奮した口調でイキイキと発表してくれることでしょう。グループディスカッションの前後で、勉強会の空気がまるで変わるのです。
そしてその温度感は、そのままコミュニティの温度感へと繋がっていきます。それが最も大切なことです。勉強会を繰り返す度に、コミュニティが活性化していくのです。
ファシリテーションが不安な方へ
このような勉強会では、ファシリテーションがそれなりに大事です。また、zoomの操作もスムーズにできなければなりません。慣れれば誰でもできるようになるものですが、最初から上手くやるのは難しいですよね。ご不安な場合はぜひお気軽にご連絡ください。ファシリテーションや段取りのお手伝い、または代行することも可能です。
私としても、様々なコミュニティでこの勉強会スタイルを応用してみたいと思っていますので、下記の通り期間限定でキャンペーンさせていただきます。
ファシリテーション代行(または運営支援)
【キャンペーン条件】
・2020年12月31日まで、毎月先着3社
・2時間以内のオンライン勉強会(zoom)
・60分の事前打ち合わせを含む
・5万円(税別)
まとめ
今回は、コミュニティを活性化するオンライン勉強会の基本スタイルについてご紹介しました。
この形式で勉強会を繰り返していくと、コミュニティ内での横のつながりがどんどん強化されていき、メンバー同士の信頼関係や協力関係が深まっていきます。
また、メンバー主体で勉強会を企画開催したり、持ち回りで講師を担当したりできるようになるので、コミュニティが自走して成長していくことになります。
あなたのコミュニティが、より素晴らしい場になりますように。
投稿者プロフィール
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1983年生まれのパラレルマーケター、そしてコミュニティデザイナー。
マーケティングやコミュニティデザインの方法論を研究開発する傍ら、自身では宇宙ビジネスの実践コミュニティ「ABLab」を主宰。人が動き出すコミュニティ創りを実践する。複数の企業をコミュニティとマーケティングで支援し、仕事の後はクラフトビールで乾杯したい。
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